2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本語母語話者における英語音声の聴解プロセスの研究
Project/Area Number |
19652043
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
犬塚 博彦 Iwate University, 教育学部, 准教授 (90244962)
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Keywords | 英語 / 音声学 / 言語学 |
Research Abstract |
勤務校である岩手大学教育学部で20度に担当し「英語音声学演習I」のなかで, 履修生たちに「文」を対象とした英語音声のリスニング実験(「ディクテーション」および「テープおこし」)に取り組んでもらい, その提出された資料の分析を通して, 日本語を母語とずる英語学習者による英語音声の聴解プロセスについてボトムアップ処理視点から考察を行ない, あわせて聴解の成否に関わる諸要因について追究した。具体的には, 平成20度は, 音節構造および強勢の型が聴解精度にどのような影響を及ぼすのかを追究するために, 弱母音で始まる内容語の聴解にリスニング実験の主たる目的を限定し, データ制御をしつつその聴解プロセスを調査した。その結果, 弱母音で始まる英語内容語で, VCCVもしくはVCVの音連続で始まる型をとり, かつ第2音節に強勢が置かれる語にういては, 第1音節に含まれる弱母音が認識されないことが多く, この場合, 強勢が置かれる2音節が「解析の起動点」となり, 第2音に含まれる母音を手がかりにして「母語である日語を介しての耳」で受け止めて, 第2音節に含まれるCV音の聴覚的印象から連想される語として聴解しようとする傾向が認められることが明らかになった。また, ディクテーションの回数を重ねていなかで, すでに聴解に成功した箇所の理解をもとに, それがる種の背景知識となって, 聴解者の頭の中で文脈が形成され(文内文脈創出), 全体の意味内容を推測しながら聴解の空白部分の埋め合わせを行ないつつ, 相乗的に聴解が進められていくものであることも明らかになった。
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Research Products
(4 results)