2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19653002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
梅田 康夫 Kanazawa University, 法学部, 教授 (50113874)
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Keywords | 明法家 / 明法勘文 / 法家問答 / 検非違使 / 裁判 / 朝廷 / 伊勢神宮 |
Research Abstract |
本年度においてはまず古代の法曹実務家の中心的な存在である明法家について,その実務的な活動の中核を構成する明法勘文と法家問答について考察を深めた。 明法勘文についてはこれまでまとまった形で考察の対象とされることが少なかった院政期の明法勘文について,各種の記録や日記等から抽出しその一覧表を作成した。そして近年著しい研究の進展をみせた公卿議定制との関連で,明法勘文がどのような関わりを有し,機能していたかといった点について分析した。その結果,白河院政期には陣定以外の公卿議定の場においても明法勘文が求められていたことや,また公卿議定の場において処理される案件の類型や形態に対応する形で明法勘文が求められ,機能していたことを明らかにした。合わせて法家問答との関係についても若干の考察を加えた。 また法家問答については,これまで全く取り上げてこられなかったと言ってよい「叙爵」に関する九条家本延喜式紙背文書の問答について,その記載内容の確認を東京国立博物館所蔵史料により行なった。その結果,この問答も法家問答と認定されるべきものであり,法家問答に関する史料が新たに追加されることとなった。 次に,中世における朝廷裁判において活躍した検非違使について,従来の膨大な研究蓄積をフォローし検非違使に関する史料の精査を行なった。とりわけ明法家との関わりについて基礎的な史料の収集に務めたが完成せず,今後の課題として残されている。 さらに朝廷裁判と密接に関わる伊勢神宮の祭主裁判についても,従来の研究成果の確認と史料収集を行なったが,その本格的な分析は今後の課題として残されている。
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Research Products
(1 results)