2007 Fiscal Year Annual Research Report
少子高齢・人口減少社会への対応策としての大学就学年数短縮の効果測定に関する研究
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19653045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小田 利勝 Kobe University, 大学院・人間発達環境学研究科, 教授 (90124536)
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Keywords | 少子高齢・人口減少社会 / 大学教育制度 / ボローニャ宣言 / 大学修学年数 / 大学進学率 / 労働人口 / 奨学金 / ロジスティック回帰曲線 |
Research Abstract |
この研究の目的は、少子高齢・人口減少社会が抱える問題への対策におけるもう一つの選択肢として大学修学年数を現行の4年から3年に1年短縮した場合に期待される効果を測定することである。期待される効果としては、労働人口と納税人口を早期に補充できること、学生生活費の親の負担分が軽減されること、老後生活費を準備する時期を早くすることができ、貯蓄額が増加すること、奨学金をより多くの学生に貸与できること、教育費の負担が減少することによって出生率が上昇すること、消費が拡大することなどである。 学部教育が3年制の国は、イギリス、デンマーク、ノルウェー、フランス、インドなど少なくない。また、EUは、2006年のボローニャ宣言で、EU共通の新制度として、学士3年、修士2年、博士3年の教育制度の制定を謳っている。卒業に必要な最低単位数(124単位:大学設置基準)を3年で取得可能なように工夫することは、それほど困難ではないと言えるが、次年度以降、3年で何単位まで取得可能かを検討する。 ロジスティック回帰曲線による大学進学率の推計モデルを作成し、このモデルと国立・社会保障人口問題研究所の日本の将来推計人口のデータを用いて、修学年数を3年にしたときの各年の労働人口増加分等を推計した(2008年〜2058年)。その結果。以下のことが明らかになった。18歳人口は減少し続けるが、進学率が上昇していけば、大学の修学年数を1年短縮することによって、2025年頃までは年間35万人、2050年頃までは25万人から30万人の労働人口を1年早く補充できる。家計への負担が大学生1人につき150万円程度軽減される。奨学生を8万人程度増加させることができる。各年の収税額を2025年頃までは約千億円増加させることができる
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