2008 Fiscal Year Annual Research Report
高機能自閉症・アスペルガー症候群にともなう語用障害の定量的評価法の開発
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19653121
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大井 学 Kanazawa University, 学校教育系, 教授 (70116911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神尾 陽子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所, 児童・思春期精神保健部長 (00252445)
藤野 博 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (00248270)
高橋 和子 金沢大学, 子どものこころの発達研究センター, 助教 (30432545)
田中 優子 九州大学, 医学研究科, 研究員 (50392030)
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Keywords | 語用障害 / 高機能自閉症 / アスペルガー症候群 / 特異的言語障害 |
Research Abstract |
4歳から11歳のPDD及び定型23名のCCC-2と知能検査、言語検査を照合した。TD19名中3名のデータは、正負の整合性が合わず、親の評価に一貫性がなかった。PDD児4名のうち1名については親の評価に一貫性がない。2名については、GCC(55未満)であった。TDでは1名が同様であった。1名についてはGCC値は高得点であったが、SIDC値が-7と23名中最低得点であった。TD児でもIQ値が高いとSIDCが低い(一桁もしくはマイナス値)。より大きなサンプルでの確認が必要であるが、日本版CCC-2の実用性を慎重な検討と、一貫性がないケースの多さについての対策が必要である。 これと別にPDD9名の会話分析とCCC-2の得点との関係を検討した。会話のやりとりの中で会話を維持するために適切な順番取りをする、話し手の明確化の要求に対して適切な応答をするといった「会話の順番取り」と「修復」の点については、CCC-2のSLI-T群とPLI群を分ける特徴がみられた。会話のこの2つの側面では特にコミュニケーション障害の特徴が出やすく、語用障害をもつPLI群においては会話の問題の中でも、「会話の順番取り」と「修復」に問題が現れやすいと考えられる。また、会話のやりとりの中で話し手の質問や発話を理解できない、一貫した会話を続けるためのルールを守れないといった「意味理解の失敗」、「語用論」の不適切さついて、CCC-2のSLI-T群とPLI群を分ける特徴がみられた。不適切さのこの2つの側面では特にコミュニケーション障害の特徴が出やすく、特異的言語障害をもつSLI群においては「意味理解の失敗」に、語用障害をもつPLI群においては「語用論」に問題が現れやすいと考えられる。
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Research Products
(3 results)