2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19654013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
田中 勝 Fukuoka University, 理学部, 准教授 (90323378)
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Keywords | 情報幾何学 / 非指数型分布族 / Tsallis統計 / 空間的非加法性 / 構造的非加法性 / q-正規分布 / 期待値 / エスコート分布 |
Research Abstract |
数式処理用にコンピュータを1台購入し,非指数型分布族であるq-正規分布族に対するリーマン幾何学的量,すなわち共形型Fisher計量,Levi-Civita接続,Riemannテンソル,Ricciテンソル,Ricciスカラー曲率の計算を行い,これまでに得られている手計算の結果と比較して,正確に計算できることを確認した。また,アファイン幾何学的な見方(1-コンフォーマルの場合に対応する)を導入し,情報幾何学の形式を二つの互いにルジャンドル変換により非線形に一対一対応した線形空間を用いて再構成したところ,ツェンツォフの定理と矛盾することなく非指数型分布族の情報幾何学を構成することができた,また,空間的非加法性および構造的非加法性を考慮しなければならないような状況下で,その非加法性を表現するものと期待されているTsallis統計において問題となっている確率密度関数とそのエスコート分布の役割について,実数値凸関数ELFを具体的に決定し上記の情報幾何学の形式を用いて考察したところ,「Tsallisエントロピーに基づく統計力学では,物理量の平均(期待値)を計算するには,確率密度関数ではなく,そのエスコート分布を用いて計算することになっているが,その根拠が自明ではなく単に手続きとして理解されている」という従来から問題視されていることに関して,情報幾何の対象となる関数空間(非線形に対応した二つの空間のうちの一つ)と,確率密度関数からなる空間との非自明な「べき乗」による対応付けを考えることで,α-ダイバージェンスに関連したq-正規分布の情報幾何が得られることを示し,この非自明な「べき乗」による対応付けこそが,確率密度関数そのものではなく,エスコート分布を用いて期待値を計算しなければならない理由となっていることを示すことができた。
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Research Products
(3 results)