2007 Fiscal Year Annual Research Report
構造転移の有無を制御する新規なエピタキシー効果による金属窒化物薄膜の物性制御
Project/Area Number |
19655076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Exploratory Research
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
犬丸 啓 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80270891)
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Keywords | MBE / エピタキシャル / 超伝導 / 相転移 / 窒化物 |
Research Abstract |
本研究では,まず,反強磁性窒化物CrNを対象とし,異元素ドープによる物性変化を追跡した.CrNにTiを固溶させ電気伝導度,磁性,格子定数をドープ量の関数として検討した.Cr_<1-x>Ti_xN/MgO(001)薄膜において,Tiドープにより反強磁性転移は(001)配向膜においても消失した.x<o.5で急激に強磁性(Tc〜120K)が発現することを確認し,電気伝導や強磁性発現と構造の関係を検討した.比較的大きな磁気抵抗効果(7%)を示すことも確認した.エピの効果であるかを確認するため,バルク試料に関する解析も必要である.一方,PLD法を用いて超伝導窒化物薄膜ReNxを合成し特性を調べ,x=0.22まで増加すると超伝導転移温度が金属Reの1.6Kから4.8Kまで上昇することを見出した.また,30K級超伝導体で知られるBa_<1-x>K_xBiO_3の母物質であるBaBiO_3のエピタキシャル薄膜を合成した.この化合物は,バルクではx<0.38でCDWにより超伝導が消失し,単斜晶あるいは斜方晶に転移する.まず,エピタキシーの効果により,x=0の母構造について検討した.MgO(001)およびsaphia c面基板上に成長させたところ,それぞれ,001および111配向の膜が生成し,成長方位を制御できることが分かった.BaBiO_3/MgO(001)の組成は量論に近いことがXPSにより分かった.この薄膜を多軸X線回折装置で測定したところ,バルクと異なり室温で立方晶を保っていることを見出した.これは,エピタキシー効果により転移が抑えられた可能性が高い.引き続き,この系について検討を行う.
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