2008 Fiscal Year Annual Research Report
構造転移の有無を制御する新規なエピタキシー効果による金属窒化物薄膜の物性制御
Project/Area Number |
19655076
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
犬丸 啓 Hiroshima University, 大学院・工学研究科, 准教授 (80270891)
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Keywords | MBE,エピタキシャル / 強相関電子系 / セラミックス / 結晶成長 / 超伝導材料・素子 / 超伝導 / 薄膜 / 応力 |
Research Abstract |
PLD法で合成したCr_xTi_1-xN薄膜ではx=0.5付近で強磁性が発現し比較的大きな磁気抵抗を示すことがわかっている。まず、これが基板による効果であるかを明らかにするためバルクでのこの固溶体の挙動を整理し報告した。アーク炉で合成したCr-Ti合金を窒化し合成したcr_xTi_1-xN粉末試料は、薄膜と同様にx=0.5付近で最も高いキュリー点(Tc=約140K)をあたえ、バルクでも磁気抵抗を示した。次に、30K級の高い転移温度をもつことが知られている超伝導体Ba_1-xK_xBiO_3の薄膜を合成し、基板の効果で物性制御することを試みた。母構造BaBiO_3をMgO,SrTiO_3基板上にエピタキシャル薄膜として合成することができた。このBaBiO_3薄膜は、基板の束縛を受けモノクリニック等の低対称性の相への転移が抑えられた薄膜の合成に成功した。この薄膜は絶縁体であり、格子の構造歪みを抑えてもBi価数の不均化による絶縁化は抑えられないことがわかった。さらにBa_1-xK_xBiO_3薄膜を種々のxにおいてMgO,SrTiO_3基板上に成長し、格子歪みと超伝導挙動について検討した。どちらの基板でも、大きく張力のかかった薄膜が生成した。これは、酸素欠陥を伴い基板上に膨張した状態で成長した薄膜が酸素中アニールにより収縮したためと考えられる。張力、格子歪みと超伝導の発現の関係を解明することが今後の課題となる。
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