2007 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ微粒子複合化による宇宙用高分子膜材の耐紫外線性・靱性の向上迷
Project/Area Number |
19656027
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中村 孝 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 教授 (30237408)
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Keywords | 機械材料・材料力学 / ナノ材料 / 複合材料・物性 / 紫外線 / PEEK |
Research Abstract |
本研究の目的は,熱可塑性耐熱高分子PEEKに紫外線遮断性能を有する金属酸化物ナノ微粒子を分散させることで,耐紫外線性・靭性を兼ね備えた宇宙用複合膜材の開発指針を得ることにある.平成19年度の研究では,金属酸化物ナノ微粒子をPEEKに分散させる手法を種々試みることで,製造上の問題点を明らかにした.さらに,試作材料に紫外線照射試験,EPMA分析,SEM観察,硬さ試験を行い,紫外線遮断性能および機械特性を調べた.得られた主な結果は以下の通りである. (1)金属酸化物微粒子を分散させた試料において,微粒子濃度が高い場合には,成形品に割れが生じる不具合が発生した.SEM観察の結果,これは微粒子が凝集したために,基地への分散状態が不十分となったためであることが明らかとなった. (2)超音波ホモジナイザを利用して分散状態の最適化を図った結果,(1)の成形不良が抑制された. (3)成形後の試料に対して硬さ試験を実施した結果,金属酸化物微粒子の濃度が増すにつれて,硬さが低下する現象が確認された.これは超音波分散時に発生したマイクロバブルが基地に残存したためである.微粒子添加による硬さの向上には,このマイクロバブルを成形時に除去する必要がある. (4)金属酸化物微粒子として,酸化チタンおよび酸化亜鉛を分散させた試料に紫外線照射試験を行った.その結果,紫外線による表面の変色の度合いが,未添加材に比べて抑制された.この抑制の度合いは酸化チタンの方が酸化亜鉛に比べて大きかった. (5)種々の製造条件のうち,平均粒径270nmの酸化チタンを濃度20%で分散させた場合に,耐紫外線性が最も向上した.
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