2007 Fiscal Year Annual Research Report
人工角膜に適用する光触媒と酵素バリアーの複合機能を持つ積層膜の開発
Project/Area Number |
19656034
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
村上 理一 The University of Tokushima, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 教授 (00112235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米倉 大介 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 准教授 (70314846)
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Keywords | 可視光応答型光触媒 / 酸窒化チタン / ガスバリア膜 / 酸窒化ケイ素 / スパッタリング |
Research Abstract |
人工角膜用ホルダーには十分な濡れ性と過度の酸素侵入を防ぐ機能が必要である。本研究は光触媒の超親水性作用と酸化ケイ素の酸素バリア特性に着目した人工角膜材料を開発するものである。本年度は予備実験として傾斜対向型DCマグネトロンスパッタリング装置を用いてガラス基板上およびPET基板上に可視光応答型TiON型光触媒薄膜とSiON型酸素透過抑制膜を成膜し。各膜の可視光透過率、光触媒性能および酸素透過性などの性能評価を行った。 その結果、スパッタリング装置で直接成膜したTiON薄膜は成膜可能な条件範囲が極めて狭いこと、またTiON薄膜が作成できてもそのままでは結晶性が悪く、十分な光触媒性能が発揮されなかった。そこで結晶化促進のために大気雰囲気中で焼鈍を行ったが、酸化が過度に進行し紫外線では作動するものの可視光では光触媒作用が発現しなかった。そこで、チタン合金よりも酸化温度が低い窒化チタンを酸化し。TiON型光触媒を得ることを試みた。まず、市販の窒化チタン粉末を大気中で焼鈍を行った。その結果、700℃の焼鈍で可視光応答型光触媒の作製が可能であることがわかった。そこで、スパッタリング法によって窒化チタン薄膜を成膜し、これを酸化することで膜状の可視光応答型光触媒の作製を試みた。その結果、これらの膜では可視光下で十分な光触媒作用を発現しなかった、これは粉末とは異なり、膜最表面近傍の酸化が過度に進行したためである。これらの結果から、膜状のTio^xN^y型光触媒を得るには焼鈍時の酸素濃度の制御が重要になることがわかった。酸素バリア膜に関しても成膜条件および薄膜の性状と酸素透過性の関係を調べた。その結果、酸素バリア性が極小となる成膜時の窒素流量比が存在すること、高窒素流量比下では、膜中にN-H結合が増大し、S-O-Nネットワークの連続性が損なわれることによっての酸素バリア性が低下することがわかった。
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