Research Abstract |
皮膚の生体組織構造,状態,疾患有無,および,物理化学的な生体反応を明らかにしたいという要求は非常に高い.本研究では,近赤外レーザーを用いた共焦点レーザー顕微鏡に,時間分解光計測の光学系を組み合わせることで,皮膚のような強い散乱'性媒体においても,散乱光ノイズを低減し,画像解像度の高い顕微鏡システムを構築できるかどうかについて検討することを目的としている. 研究初年度の平成19年度では,システムの主要部分である共焦点レーザー顕微鏡について,簡易システムの設計,製作を行った.手動のステージによる捜査ではあるが,その動作,および,有用性が確認できた.また,これと同時に,散乱光を低減するための時間分解計測として,カーゲーティング法(時間制限計測法)の可能性について調べた.この手法は,非線形光学結晶に極短パルス光を入射させて,それにより生じる光物性変化で,照射時のみ光観察を可能とするものである.これに関しても,実際に,簡易システムを設計,製作を行った.しかしながら,時間を制限するカー効果を誘発するために,非常の強いパルスレーザが必要で,結晶材料の光物性変化を引き起こせないことが明らかとなった.また,通常のストリークカメラを用いた時間分解計測に対して,優位な点が見いだせないことが明らかとなった. 以上の実験的検討と並行して,本顕微鏡システムの有用性を数値解析により検討した.構築を予定している光学系を模擬した数値解析モデルを用いて,画像がどの程度改善できるかを調べた.その結果,本研究で提案しているシステムにより,コントラスト比で,20-50%画像が改善できることが明らかとなった.
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