2009 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙膜面構造のリンクル発生に関する不確定性モデルの構築
Project/Area Number |
19656228
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
小木曽 望 Osaka Prefecture University, 工学研究科, 准教授 (70295715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 良平 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (30145817)
秋田 剛 宇宙航空研究開発機構, 情報・計算工学センター, 研究員 (20405343)
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Keywords | 航空宇宙工学 / 確率論 / 構造・機能材料 / 確率過程 / 膜面展開構造 / インフレータブル構造 |
Research Abstract |
ソーラーセールに代表される軽量膜面構造は,膜面に発生する「リンクル(しわ)」が展開特性に影響をもつと言われている.本研究では,寸法誤差,展開時の形状誤差,膜面の初期不整や荷重誤差などがリンクルにおよぼす影響を確率過程に基づいた不確定性モデルとして構築することをめざす.そして,それを通して,膜面構造の信頼性を確保するためには何が重要であるかを明らかにし,宇宙構造としての実現性を高めることにつなげることを目的として研究を行った. 不確定性の影響をみるために,昨年度構築したレーザー変位計を用いる膜面計測実験装置を拡張して,正方形の膜面全体の変形分布を計測できるようにした.そして,シェル要素を用いた有限要素分岐座屈解析と比較した.その結果より,境界面における形状の不確定性,荷重負荷領域形状の不確定性が応力集中部におけるリンクル形状(波長と振幅)の不確定性に影響をおよぼし,それが膜面中央領域におけるリンクルの振幅に不確定性に関係すると結論付けることができた.一方,、その原因として膜面サンプルの切り出しやセッティングにおける制作上の不確定性に起因するため,計測の再現性のためにはサンプル製作の高精度化が新たな課題となる. 一方で,これらの不確定性を確率論に基づくモデル化手法として,確率過程を用いた不確定性モデルの検討を行った,特に,面外初期不整の影響や初期応力の確率過程モデルを構築した.その確率モデルを分岐座屈に基づくリンクル解析と統合し,総合的な評価を行うことは今後の課題となるけれども,本研究を通して,宇宙膜面構造の確率過程モデルの足がかりを築くことができた.
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