2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19658005
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
実山 豊 Hokkaido University, 大学院・農学研究院, 助教 (90322841)
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Keywords | 寒冷地 / 雑草防除 / 省力化 / 凝固点降下 / 凍結傷害 / 寒剤 |
Research Abstract |
雑草防除は,農業体系上最も多くの時間を費やす作業労働の一つであるが,これを容易に省力化できれば,更なる作業体系の拡充等が可能であろう.適応範囲として北海道のような寒冷地域に限定されるが,積雪下における寒剤凝固点降下現象の雑草発芽抑制効果について,ポット試験を主とした調査を行っている. 本試験で供試した土壌を採取した圃場は,一年生雑草(チガヤ等の単子葉,オオバコ等の双子葉等)及び多年生雑草のスギナを優占種とする,多様な雑草種相を形成している.この土壌を植氷下において凍結した際,-20℃〜-40℃の冷却温度の際に,無処理と比較して雑草実生の有意な発芽率低下がみられた.これは,毎年4〜-5℃の冷却温度に遭遇する雑草の埋土種子及び栄養体において,少なくとも-20℃近辺に環境温度が低下すれば,翌春の雑草数が減少する可能性を示唆している. この土壌に凝固点降下の効果が期待できるMgCl_2を混和し,4℃に冷却後,温室内で培養したところ,雑草発芽数が著しく低下したが,これは混和した寒剤による塩ストレスに起因する事が示され,寒剤の土壌への混和は,適用不可と考えた.そこで次に,寒剤を含むビニルバッグを土壌上に静置した上で同様の試験を行った.4℃条件下にて種々の寒剤を氷片に混和しバッグ内の温度低下程度をみたところ,寒剤種と混和量によるが,-13℃〜-23℃の最低到達温度を記録した.これらのビニルバッグを密閉した状態で4℃条件下にて土壌上に静置後,土壌の培養試験を行ったところ,雑草発芽数はNaCl,MgCl_2またはCaCl_2で処理した土壌で有意に低下し,雑草乾物重についても同様の傾向が認められた.寒剤の効果が認められた土壌や雑草からは,寒剤成分の残留等は検出されず,凝固点降下が分裂組織の凍結傷害を誘引したものと考えられた.次年度は,この手法が実際の雑草防除に適用可能か,圃場にて検証する予定である.
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