2008 Fiscal Year Annual Research Report
培養植物細胞を用いたアルツハイマー病治療のための経口ワクチンの開発
Project/Area Number |
19658043
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
吉田 泰二 National Agricultural Research Organization, 東北農業研究センター・寒冷地特産物研究チーム, 上席研究員 (10355290)
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Keywords | アルツハイマー病 / 経口ワクチン / 培養植物細胞 |
Research Abstract |
注射ワクチンより安全で簡便な抗アルツハイマー病経口ワクチンを開発するため、アミロイドベータペプチドを含有したダイズ、イネ及びコヘンルーダの遺伝子改変植物細胞培養系を作出、維持した。免疫原性を高めるため、アミロイドベータペプチド遺伝子は、緑色蛍光タンパク質遺伝子との融合タンパク質遺伝子として植物細胞に発現させた。 イネ、ダイズ及びコヘンルーダの培養細胞を凍結乾燥又は自然乾燥させ、粉砕後、水に溶かし、経口ゾンデで8週齢のB6マウスに投与した。投与は1週間置きに4回実施し、6週目に、水のみを投与したコントロールも含め、アミロイドベータペプチドをブースター注射し、8週目に全採血した。その結果、イネ及びダイズ培養細胞の6週目とダイズ細胞の8週目に、マウス血清の抗体価が上昇した。イネ培養細胞を24週齢のSAMP8老化促進マウスに1週間置きに半年投与した場合、同様に抗体価が上昇したが、モリス水迷路試験等での学習能力、記憶能力の向上、組織検査等による脳内のアミロイドベータペプチドの減少は、現在までの結果では認められていない。 遺伝子改変植物の日本での栽培は、消費者の持つ不安等のため事実上できない。従って、有益な成分を含んだ医療用遺伝子改変植物の実用化の見込みは立っていない。本研究の遺伝子改変培養植物細胞を用いた場合、工場内で生産するため、そのような不安を解消することができる。本年度、アミロイドベータペプチドを含有した遺伝子改変植物細胞が、マウス血清の抗体価を上昇させることがわかり、培養植物細胞由来抗アルツハイマー病経口ワクチンの実用化の可能性が示された。
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