2007 Fiscal Year Annual Research Report
天敵クラゲによる有害クラゲの制御法の開発に関する萌芽的研究
Project/Area Number |
19658076
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上 真一 Hiroshima University, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (80116540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小路 淳 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (10397565)
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Keywords | ミズクラゲ / エチゼンクラゲ / 大量出現 / 天敵クラゲ / 発生制御 |
Research Abstract |
ミズクラゲやエチゼンクラゲなどの有害クラゲによる大量出現が常態化している。本研究は、これらのクラゲ種に対する天敵クラゲを探索し、その捕食能力を利用した有害クラゲ種の発生制御の開発を目指している。今年度は下記の研究成果を得た。 (1)天敵クラゲ種の探索 種類の異なるクラゲ同士で餌-捕食者関係を実験的に明らかにした。有櫛動物のカブトクラゲは同じく有櫛動物のウリクラゲに捕食された。その際、同等の体サイズ同士でも捕食された。刺胞動物のミズクラゲ、エチゼンクラゲは同じく刺胞動物のアカクラゲ、ユウレイクラゲに捕食されたが、その際、餌となるクラゲの体サイズは常に小さかった。 (2)カブトクラゲ-ウリクラゲの季節的変動 福山港での定期採集調査において、カブトクラゲの出現量は初夏から盛夏にかけて増加したが、盛夏にウリクラゲが出現し始めるとその量は急減した。この事実は、野外におけるカブトクラゲ個体群の増減には、捕食者であるウリクラゲの出現が大きく影響していることを示している。 (3)底棲期の共食い現象 ミズクラゲのポリプは近隣のポリプ同士で共食いすることが観察された。また、エチゼンクラゲでは早期に着底し変態を終了したポリプが、遅れて着底しようとするプラヌラを捉えて捕食することが明らかとなった。クラゲ類の底棲期における同種、他種間の捕食現象はこれまで未解明であるが、本現象を有害クラゲの発生制御に利用できる可能性がある。
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