2008 Fiscal Year Annual Research Report
酸化ストレスを可逆的に捕捉できるRedox応答型蛍光プローブの設計
Project/Area Number |
19659007
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
前田 初男 Hyogo University of Health Sciences, 薬学部, 教授 (00229311)
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Keywords | 蛍光プローブ / 酸化ストレス / 可視化計測 / レドックス / 次亜塩素酸 / カテコール / サイクリックボルタムメトリー / フルオロセイン |
Research Abstract |
昨年度に得た知見を基に,4(5)-amino 2',7'-dimethylfluorescein (ADMF)および4(5)-amino 2',7'-difluorofluorescein (ADFF)を合成し,それらまたは市販の4-aminofluoresceinと3, 4-dihydroxyphenyl propionic acidとの縮合化合物を合成した.但し,ADMFとADFFから合成したプローブ候補化合物は,分離不可能な位置異性体の混合物として得られた.これらのプローブ候補化合物は,ほぼ無蛍光であったが,大過剰のNaOClとpH7.4リン酸緩衝液中で処理すると,弱いながらも蛍光を発するようになった.このような現象は,H_2O_2およびO_2^<-・>との反応では観察されなかった.また,cyclic voltammetry (CV)において,これらの化合物は,可逆なredox波を0.4V vs. Ag/AgCl付近に,不可逆な酸化波を0.8V付近に示した.そこで,CVにおいて電位を走引しながら,光ファイバー蛍光検出器を用いて蛍光測定を行なった.その結果,catechol核に由来するredox波が観察された0.4Vではなく,0.8V付近から正側の電位を印加した時,蛍光応答の増加が観察された.一方,NaOClとの処理により,これらのプローブ候補化合物の蛍光スイッチをonの状態にした後,大過剰のglutathioneやascorbic acidで処理したが,蛍光スイッチoffにはならなかった.これらの結果から,catechol核は蛍光スイッチ素子として活用できないこと,ならびに,fluorescein核がNaOClにより不可逆的に酸化されることが示された.そこで,N-Hydroxyphthalimideをスイッチ素子とするプローブ候補化合物の合成に取組んでいるが,現在のところ,その合成には成功していない.
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