2007 Fiscal Year Annual Research Report
特異的24G7抗体イムノクロマトグラフィーによる急性拒絶反応の新しい診断法の確立
Project/Area Number |
19659143
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
笹栗 志朗 Kochi University, 医学部, 教授 (60196186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 博教 高知大学, 医学部附属病院, 講師 (20335946)
山口 登喜夫 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (30134745)
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Keywords | バイオピリン / イムノクロマトグラフィー / 心移植 / 腎移植 / 急性拒絶反応 / バイオピリン / 24G7抗体 |
Research Abstract |
我々はこれまで、ラット頚部異所性心移植モデルにおける急性拒絶反応にて、尿中バイオピリン上昇が移植後4日目より生じ、心筋傷害マーカーであるトロポニンTよりも早期の段階で拒絶反応を捉えうることをバイオピリン特異的24G7抗体を用いたELISA法にて明らかにしてきた。しかし、ELISA法は感度に優れるものの最終判定までに数日を要し迅速性に欠けた。本研究では、感度よく短時間でバイオピリンを検出できるイムノクロマトキット(ICA kit)の開発を目的として開始した。 ICA kit作製では固相化メンブレン及び標識粒子より構成されるテストプレートを試作した。尿サンプルを反応させた後にクロマトリーダーによる測定値計測を行うが、全工程約15分で尿中バイオピリンが測定可能であり、従来法と比較して格段の測定時間の短縮が実現できた。 次に実際の急性拒絶反応時における尿中バイオピリン測定を、ICA kitと従来法で行い比較検討した。その結果、同種異所性頚部心移植での急性拒絶反応群(DAラット→LEWラット)では、尿中バイオピリンはICA kitと従来法ともに4日目に上昇し、ICA kitでは術前基礎値の約6倍、ELISA法では約4倍と、ICA kitでの測定においてより高い感度が得られていた。拒絶反応のみられない同系移植群(LEWラット→LEWラット)での尿中バイオピリン値は、ICA kit、ELISA法共に術前基礎値との有意な変化はなく、特異性についても従来法と同等であると考えられた。 これらの結果は、尿中バイオピリン測定における新たなICA kit法の有用性を示しており、特に急性拒絶反応時の低侵襲かつより早期の診断が期待できるものと考えられる。現在、移植後拒絶反応診断の予備的研究として、腎移植後患者の尿サンプルの採取を行っている。今後これらの臨床例での検討を基に、移植後拒絶反応の早期診断法の確立を目指していきたい。
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Research Products
(1 results)