2007 Fiscal Year Annual Research Report
PGC1α新規アイソフォームのエネルギー代謝制御における機能の解析
Project/Area Number |
19659234
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
小川 渉 Kobe University, 医学系研究科, 准教授 (40294219)
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Keywords | 転写コアクチベーター / PGC1α / 身体運動 / 遺伝子改変マウス |
Research Abstract |
我々は転写コアクチベーターであるPGC1αの既報の第一エクソンの15Kb上流に存在する新規な第一エクソンから転写が開始される新規なスプライシングバリアントを同定した。この新規なスプライシングバリアント(PGC1αb)の発現は筋肉及び褐色脂肪に限局することが明らかとなった。運動負荷によって骨格筋のPGC1αの発現量は増加することが知られているが、健常マウスへのトレッドミル負荷によって既知のPGC1αの発現量の増加が数倍程度に留まったのに対し、PGC1αbの発現量は数十倍に増加した。また、マウスを寒冷状態に置くと褐色脂肪組織におけるPGC1αの発現が増加するが、寒冷刺激によっても既知のPGC1αの発現増加が2倍程度であったのに対し、PGC1αbの発現は5倍以上に増加した。以上の結果から運動や寒冷刺激などの物理的刺激によってPGC1αbの発現は大きく変動することが明らかとなった。PGC1αbの生理的機能を解析するため、新規第一エクソン特異的な遺伝子欠損マウスを作成した。本マウスは野生型マウスに比べ体重が低く、高脂肪食摂取による肥満に対しても抵抗性を示した。また、血糖値に変化はなかったが血漿インスリン値は低く、良好なインスリン感受性を示すことが明らかとなった。本マウスでは全身でPGC1αbの発現は完全に消失していたが、複数の臓器で既知のPGC1α発現の低下も認められた。本マウスの作成においては、PGC1αb特異的第一エクソンをネオマイシン耐性遺伝子に置換したが、ゲノム上のネオマイシン耐性遺伝子存在により15Kb下流の既知の第一エクソンに影響が出たものと考えられた。
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