2008 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍関連P13Kの選択的遮断を基盤とするメラノーマに対する分子標的治療法の創生
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19659280
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
津田 昌明 Akita University, 医学部, 助教 (30333925)
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Keywords | 癌遺伝子 / メラノーマ / PTEN / PI3K |
Research Abstract |
メラノサイト特異的PTENホモ欠失マウスを作成し、PI3Kの下流分子が如何に変化するかを検討した。その結果、PTENホモ欠失メラノサイトは野生型と比べて、Bcl-2、p19Arf、p21cip/wafl1、p53などの発現が増強し、かつp27kip1の発現が減少していた。さらにPTENホモ欠失メラノサイトは2段階化学発癌処理により生じたメラノーマ細胞と比べて、Erkの活性化が増強、p27kip1の発現が減少、またp16Ink4aとp19Arfの発現が著明に増加していた。これらの所見は、2段階化学発癌処理によりメラノーマが生じる際には、PI3K依存性のAkt活性化、PI3K非依存性のErkの活性化、さらにp27kip1とBcl-2の減少が協調的に作用していることを示唆するものである。 さらに如何なるPI3Kアイソフォームが、細胞増殖やアポトーシス抵抗性に関与するかを検討するため、PTENホモ欠失マウス、PI3Kγホモ欠失マウスとPI3Kαヘテロ欠失マウスに放射線5Gyを照射したところ、PTENホモ欠失マウスは体毛の色調に変化が無かったが、PI3Kαヘテロ欠失マウスとPI3Kγホモ欠失マウスでは白髪化した。これらの所見は、PI3KγとPI3Kαがメラノサイト幹細胞の維持に大きな役割を果たしていることを示唆するものである。 メラノーマの発症機序を「メラノサイト幹細胞におけるPTEN欠失を分子基盤とする細胞増殖とアポトーシスの異常」と捉えるとするならば、疾病原因たるPTEN下流経路の異常を制御することが、メラノーマの克服に直結すると演繹されよう。今後はPI3KαとPI3Kγを治療標的分子として、その特異的阻害剤を探索することに研究の主眼を置きたい。
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Research Products
(1 results)