2008 Fiscal Year Annual Research Report
随意運動の発現における前頭葉、大脳基底核、小脳の機能分散と機能連関の解明
Project/Area Number |
19670004
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
星 英司 Tamagawa University, 脳科学研究所, 准教授 (50407681)
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Keywords | 神経生理学 / 神経解剖学 / 運動前野 / 随意運動 / 大脳基底核 / 小脳 / 認知 / 運動 |
Research Abstract |
本年度は、運動前野の背側部(PMv)と腹側部(PMv)がどういった視覚入力を受けているのかについて詳細な検討を行った。被験体に二種類の異なる条件下で到達運動の企画を行うように視覚指示を与えた。第一の条件下では、画面上の様々な部位に提示された物体に直接手を伸ばすことが要求され、物体の視覚空間性の情報が重要な役割を果たしていた。一方で、第二の条件下では、提示された物体の形態に応じて、既に学習済みの記憶内容にもとづいて、右または左へ到達することが要求された。 こうした2つの条件下で行動課題を行っている被験体のPMdとPMvから記録された細胞活動の視覚応答特性を解析したところ次のような結果が得られた。視覚空間性の情報は90msという短い潜時でPMdとPMvに到達していたが、記録された左半球とは反対側の空間(右側)が強く表現されており、主として、細胞活動の興奮によってその情報は表現されていた。一方で、形態に応じて動作方向を決定する課題では、150msという長い潜時の後に、PMdの細胞が強く応答していたが、興奮性だけでなく抑制性の活動によって、左右へ向かう動作が同程度に反映されていた。こうした結果は、視覚空間性の情報と形態に応じて内的に決定された動作空間に関する情報は、脳の異なった部位から運動前野に入力していることを示唆する。また、これらの情報の受け取り方に関して、PMdとPMv間で共通な部分と異なる部分があることが明らかとなったが、これは運動前野内の機能分化に関して新しい視点をもたらした。
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Research Products
(12 results)