2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19678002
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉村 崇 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 教授 (40291413)
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Keywords | 光周性 / 下垂体隆起葉 / メラトニン / マウス / 甲状腺刺激ホルモン / ウズラ |
Research Abstract |
動物は四季の環境の変化により良く適応するために、繁殖、換羽、渡りなどの行動を毎年特定の季節に行う。動物は日長の情報をカレンダーとして利用している(光周性)ことが知られていたが、その制御機構は謎に包まれていた。研究代表者らは19年度の研究において光周性の最も優れたモデル動物、ウズラを用いて機能ゲノミクス解析を行い、光周性を制御する遺伝子カスケードを明らかにした(Nakao et al., Nature 2008)。すなわち、長日刺激によって下垂体隆起葉において甲状腺刺激ホルモン(TSH)が誘導されると、これが視床下部に作用し、季節繁殖を制御する鍵遺伝子DIO2の発現を誘導することを明らかにしたのである。20年度はこのシグナル伝達経路が鳥類だけでなく、哺乳類においても保存されていることを示すことを明らかにした。まず、従来季節性を示さないと信じられていたマウスが脳内において日長の変化に反応していることを示した。またTSH受容体(TSHR)を欠損するTSHRノックアウト(KO)マウスが日長の情報を脳内に伝達できないことを示し、TSH-TSHRシグナル伝達系が光周性の制御において必須の役割りを果たしていることを分子遺伝学的に証明した(Ono et al., PNAS 2008)。さらに哺乳類では日長の情報は松果体から夜間分泌されるメラトニンというホルモンが仲介していることが知られていたが、メラトニン受容体のKOマウスを用いた実験により、MT1受容体が担っていることが明らかになった(Yasuo et al., J Neuroscience 2009)。
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Research Products
(5 results)