2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19680006
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
稲見 昌彦 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 教授 (00345117)
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Keywords | Galvanic vestibular stimulation / Ocular torsion / Video-oculography / Eye movement and Quantization |
Research Abstract |
1.概要 人は運動時でも視界が安定している理由として,代償性の眼球運動としての前庭動眼反射の効果があげられる.前庭動眼反射とは頭部の動きに対して眼球が逆方向に動くことで視界のブレを少なくする反射運動である.この前庭動眼反射の機序を明らかにし,ある運動-言い換えるならばある加速度-における反射強度の知見を得ることは本研究の目的である運動感覚を損なうことなく,遠隔地やVR空間移動時の映像を安定して観察可能なシステムを構築する上で不可欠な情報である.そこで,前庭感覚の提示手法として電流による前庭感覚刺激GVS(Galvanic Vestibular Stimulation)を用いて,GVSにより生起される眼球運動と同時に被験者に知覚される主観的な視野運動の関係を検証した. その結果,GVSに誘起される眼球運動および視野運動が、・刺激電流に比例して増大すること・刺激周波数に依存した周期的な回旋運動が知覚されること・刺激からの眼球運動および視野運動知覚までの時間遅れが電流量によらず刺激周波数によって定まることなどが示唆された. 2.重要性 本成果により,前庭感覚刺激による眼球運動の運動特性と視野運動の知覚特性が同様の傾向を示すこと,また,GVSにより任意に視野運動を制御できるということが明らかとなった.これはGVSを用いた前庭感覚刺激によって人に前庭感覚を付加することはもちろん,視野運動を任意に制御することで知覚的に安定した視界の提示が行えるという可能性を示している.
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