2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19682004
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
渡部 森哉 Nanzan University, 人文学部, 講師 (00434605)
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Keywords | 考古学 / 先史学 / 文化人類学 / アンデス / ペルー / ワリ |
Research Abstract |
2008年8月、9月にペルー北部高地カハマルカ地方に位置するエル・パラシオ遺跡の発掘調査を約1ヶ月間に亘って実施した. その結果、同遺跡の多くが牧草地の下に埋もれており、その広まりは少なくとも10ヘクタール以上に及ぶこと、カハマルカ中期B・C(A. D. 700-900)からカハマルカ後期(A. D. 900-1200)のはじめの遺跡であること、建築は壁が直行する設計のワリ様式のものであること、少なくとも4時期の建築フェイズが認められることなどが確認された。堆積は最大で2メートル以上に及び、大量の土器、獣骨、石器が出十したこと、および人骨が出十したことから、他の地域における行政センター的なワリ文化の遺跡とは異なり、恒常的に人間が生活する都市型の遺跡であると考えられる. また土器の大部分はカハマルカ文化のものであるが、少数ながらペルー南高地、ペルー北海岸の土器、カハマルカ地方には存在しない黒曜石などが出土しており、インターアクションが活発な時期であったことが明らかである。 また地元の業者に委託して、遺跡の地形測量を実施した。 従来、ワリ文化の遺跡の調査が不十分であったため、ワリ国家がペルー北部においてどのような活動を行ったのか研究者の間で意見が分かれていた。しかしエル・パラシオ遺跡の調査結果によれば、約200年に亘りカハマルカ地方を支配下に置いていたと考えられる. アンデス考古学における最近の大きな発見の一つである。 時間の都合上遺物整理は行っていない。2009年度の課題である。
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Research Products
(4 results)