2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19682004
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
渡部 森哉 南山大学, 人文学部, 准教授 (00434605)
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Keywords | アンデス / ペルー / 考古学 / 先史学 / ワリ |
Research Abstract |
8月から10月にかけて約2ヶ月間、ペルー共和国北部高地カハマルカ地方にあるエル・パラシオ遺跡の第二次発掘調査を行った。標高約2700メートルの平らな場所に位置している。発掘面積は約230平方メートルであり、無遺物層まで約2メートルの深さを掘り下げ、建築の時期的変遷を詳細に把握し、各時期の建築に共伴する遺物を大量に収集した。2011年1月にペルー文化省に発掘の概要を記した報告書を提出した。 同遺跡はペルー南高地のワリ遺跡を首都として台頭したワリ国家(A.D.600-1000)の地方行政センターと考えられる。同遺跡はそれまで利用されていたかった土地にA.D.700頃に新たに建設されており、ワリ国家の支配が終わるA.D.1000頃に放棄された。遺跡の大部分は地下に埋もれているが、その広まりは50ヘクタール以上と考えられる。同遺跡の発見により、ペルー北部高地がワリ国家の直接支配下にあったことが確実になった。重さ1トン以上の出土土器の多くは在地のカハマルカ文化の土器であり、ワリ様式の土器は非常に限定されていた。従って、ワリ国家の政治的支配下でもカハマルカ文化はその土器伝統を維持したと言える。ラクダ科動物の骨、および農耕具と考えられるT字形石器が大量に出土しており、ワリ国家の時代に農耕と牧畜が活発化したことが明らかとなった。また、建築の作り替えが行われる際、壁の下に埋葬を行うというパターンを確認した。今回の発掘区では水をためるための施設、水路が確認され、水のコントロールが重要であったことが判明した。さらに、地域間交流の実態を示す重要なデータである黒曜石やウミギク貝製品など、外来の物資が出土した。 発掘調査と平行して、2008年の第一次発掘調査の出土遺物の図化作業を進めた。
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Research Products
(5 results)