Research Abstract |
本年度は当初の研究実施計画に沿って,特異点を持たない複素余次元1の横断的に複素解析的な葉層構造や,複素解析的なベクトル場について,Fatou-Julia分解と,二次特性類に着目して研究した(なお,この分解は昨年度における本研究の成果の一つである).まず,Fatou-Julia分解に関連する研究では,例えば力学系のFatou-Julia分解など,既によく知られている分解との関係についていくつかの事実を明らかにすることができた.特に,いわゆるSullivanの辞書としてよく知られている数学的な事実に関して,その背景の一つの定式化を与えた.これらに関しては一部を研究集会において口頭発表したほか,複素解析的なベクトル場についての結果とあわせて現在論文を執筆中である.また,昨年度までの研究に関しては,学術誌に査読付き論文を発表したほか,研究集会の報告集(査読付き)に概説を記した.また,二次特性類に関する研究では,無限小微分と葉層構造のJet東の関連についていくつかの結果を得た.こちらに関しても研究集会において口頭で発表し,現在論文を執筆中であるほか,一部はこれまでの研究結果と併せて図書として刊行予定である.研究の実施にあたっては,研究情報の収集・交換などを目的とし,国内外の研究集会に参加したほか,書籍などを購入した.参加した主な研究集会は,国際研究集会「Dynamique et Geometrie Complexe」(マルセイユ(フランス),2009年6月),「山代微分トポロジー」研究集会(山代地区会館,2009年8月),葉層構造と微分同相群研究集会(東京大学玉原国際セミナーハウス,2009年10月),複素解析的ベクトル場・葉層構造とその周辺(龍谷大学セミナーハウスともいき荘,2009年12月),複素力学系とその関連分野の総合的研究(京都大学数理解析研究所および京都大学大学院人間・環境学研究科,2009年12月)である.
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