2007 Fiscal Year Annual Research Report
X線イメージング偏光観測による宇宙における粒子加速現場の解明
Project/Area Number |
19684008
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
玉川 徹 The Institute of Physical and Chemical Research, 牧島宇宙放射線研究室, 専任研究員 (20333312)
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Keywords | X線偏光計 / 粒子加速 / 宇宙物理 / X線天文学 / ガス電子増幅フォイル |
Research Abstract |
本年度はガス電子増幅フォイル(GEM)の試作試験、X線ミラーの開発検討、読み出し回路の開発を行った。GEMの試作試験では、X線偏光計への搭載に適した十分な位置分解能を持つ、80ミクロンピッチ、40ミクロン穴直径のフォイルを作った。開発の過程で電子増幅度が低下する現象が見られたが、取り扱い環境のクリーン度を上げることにより解決できることがわかった。この遅れのため、プロトタイプ偏光計の製作は、2008年度に繰り越した予算をベースに行った。 試作したGEMに対し、印加電圧に対する電子増幅度の振る舞い、電子増幅度の時間安定性を測定した。二週間にわたり電子増幅度の変動を調べたが、3%程度の変動しか見られず、海外の研究機関で製作されたGEMには無い優れた特徴を有していることがわかった。さらに、気球実験でGEMに電圧を印加するための小型高電圧電源を購入し、動作試験を行った。GEMに電圧を印加しながら6000回の電圧昇降試験を行ったが、特に問題はみられなかった。 高エネルギーX線に対する集光ミラーの製作について検討したが、高エネルギーの光子を気球で用いるような短焦点距離のミラーで集めるのは、初期に想定していた以上に技術的に難しく、さらなる開発研究が必要であるという結論に達した。読み出し向路については既存のアナログASICをベースにして、宇宙関連機器で標準になりつつある通信インターフェースSpaceWireを用いたものを設計、製作した。以上により、要素技術の開発が完了して、プロトタイプ偏光計を製作する準備が整ったことが、本年度の最大の成果である。
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