2008 Fiscal Year Annual Research Report
X線イメージング偏光観測による宇宙における粒子加速現場の解明
Project/Area Number |
19684008
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
玉川 徹 The Institute of Physical and Chemical Research, 牧島宇宙放射線研究室, 専任研究員 (20333312)
|
Keywords | X線偏光計 / 宇宙物理 / X線天文学 / ガス電子増幅フォイル |
Research Abstract |
本年度はX線偏光計のフライト用プロトタイプを製作し、その性能評価を行った。プロトタイプ機のアナログ信号読み出しにはVA32TA ASICを用い、信号処理回路からコントロール用のコンピューターまではSpaceWire規格を用いた処理回路を構築した。このプロトタイプ機を用いて、Fe-55放射線源からの5.9 keV x線スペクトルを取得することで、X線の検出が可能であることを示した。さらに、17 keV のX線を照射したところ、光電子が予想通りに広がっており、偏光観測が可能であることを確認した。その後、プロトタイプ機を理研のX線ビームラインに設置し、わずかに偏光した20 keVの制動放射X線を照射することで、実際に偏光が観測できることを示した。 GEMの性能評価については、HIMACにおいて重イオン照射実験を行い、上空において放電の大きな原因となる重イオン入射に対するGEMの耐性を調査した。試験は将来の衛星計画まで考え、衛星軌道上40年分に相当する鉄(500 MeV/n ; 銀河宇宙線を想定)を照射し、GEMは何らダメージを受けないことを確認した。また、今回のように大面積のGEMを利用するときに問題になる、電子増幅度の面内一様性の調査も行なった。増幅度の不均一性は標準偏差4〜5%であり、偏光計への利用には全く問題にならないことを確認した。 Geant4シミュレーターを用いて、気球に搭載する検出器のモデルを作り、気球高度でのバックグラウンド見積もりを行った。ガス検出器なので、特にガンマ線の影響を評価した。バックグラウンドを最小限にするために、タングステンと鉛の二重シールドを考え、その厚みの最適値を決定した。
|
Research Products
(8 results)