2008 Fiscal Year Annual Research Report
膜の相分離によるリポソームの変形機構を利用した新規薬剤送達システムの開発
Project/Area Number |
19684015
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 慎一郎 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特定研究員 (50372446)
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Keywords | リポソーム / 無細胞タンパク質合成 / DDS / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
本研究の目的は, 環境条件による相分離を利用して, ステルス性と標的選択性とを両立させる新規リポソームDDS(薬剤送達システム)の開発である.申請者らのグループはこれまでにリポソーム内で無細胞タンパク質合成を行わせることにより, 目的のタンパク質のみを発現させたリポソームが構築可能であることを示してきている.最近, 細胞間でギャップジャンクション(GJ)を形成して物質輸送を担う膜タンパク質・コネキシンをリポソーム膜に発現・提示しうるとの実験結果を得た.この結果を細胞への物質輸送に用いるべく, 脂質分子の相分離現象に着目し, 部分的に細胞選択性部位を露出することで選択性を求めた.前年度までに, 複数成分の脂質からなる巨大リポソームを用い, 二重蛍光染色と共焦点顕微鏡観察によって相分離を, また温度制御ステージを用いて温度依存性の確認を行った.その知見を用いて, 小サイズリポソーム環境で膜タンパク質が組み込まれたリポソームの活性測定を行った.その結果, 小サイズのリポソームにおいてもコネキシンの機能活性を示しうる条件が得られた.この条件において, 培養細胞(コネキシンを発現)の内部空間に水溶性蛍光色素(Calcein)を40-60%の効率で輸送することに成功した.加えて, 巨大リポソームにコネキシンを発現させた系において培養細胞内にペプチド薬剤を輸送し, 細胞環境の遺伝子発現の制御が可能であることを示し, さらに異なるタイプのコネキシンを発現させることにより, 選択性を示しうることを報告した(Biomaterials, 印刷中).
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Research Products
(4 results)