2007 Fiscal Year Annual Research Report
窒素分子をキーモノマーとする特異ポリマー合成方法の開発
Project/Area Number |
19685009
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩月 雅士 Kyoto University, 工学研究科, 助教 (30362453)
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Keywords | 高分子錯体 / 窒素 / 共役ポリマー / イリジウム / 二核錯体 |
Research Abstract |
窒素分子(N_2)を効率的に取り込むことが報告されているIr錯体について、その二核錯体化を検討した。二核錯体として金属中心を二つ有するM-L-L-M(M=遷移金属元素,L-L=配位子)型錯体を合成することで、架橋配位性化合物との反応により金属錯体ポリマーが形成されるものと考えられる。架橋モードで配位可能な物質は、通常二組以上の非共有電子対を有している必要があるが、N_2、0_2、CO_2はともにその該当物質であり、これらの物質を上記の二核錯体モノマーと反応させることは豊富な資源を活用する上で大変興味深い。 目的の二核錯体モノマーの前駆体は、新規に合成されたホスフィン配位子にIrを導入することにより収率良く得られ、その構造を種々のスペクトルにより明らかにした。得られた錯体は、PCPピンサー構造を二つ有するものであり、ビフェニルタイプの架橋構造を有している。この前駆体はIr二核のヒドリドクロライド錯体であり、対応するビスピンサー型ホスフィン配位子と[(1,5-cycloocta-diene)IrC1]_2との反応により収率良く得られ、空気中でも短時間であれば取り扱えるほど安定であった。この錯体を目的のモノマーとするためには、一部配位子を除去し不飽和錯体としたうえで、上記のガス状化合物を反応させる必要があるが、実際、そのヒドリド配位子およびクロライド配位子の脱離反応は強塩基を用いることで容易に進行することが明らかとなった。得られる不飽和二核錯体モノマーと種々のガス状化合物との反応を行ったところ新物質が得られることが分かったが、その詳細については今後検討を行い、生成物の構造、物性等を明らかにしていく予定である。
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