2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19685012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊丹 健一郎 Nagoya University, 理学研究科, 教授 (80311728)
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Keywords | 分子触媒化学 / 炭素-水素結合 / 遷移金属錯体触媒 / 合成化学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、炭素-水素結合などのユビキタスな結合を直接変換し有機骨格を構築する一般的手法の確立である。H20年度は、芳香環やヘテロ芳香環の炭素-水素結合を直接化学変換する新しい触媒の開発に成功した。例えば、芳香族化合物とハロゲン化アリールのクロスカップリングを促進するユニークなイリジウム触媒(Angew. Chem. 2009,"Hot Paper")、パラジウム触媒(論文投稿準備中)を新たに開発した。いずれの触媒反応も炭酸銀を添加剤として用いるという特徴をもつ。DFT計算を用いた機構解明研究により、遷移金属錯体と炭酸銀の協同的な作用が効率的な炭素-水素結合切断の鍵であることが示唆された(論文投稿準備中)。芳香族化合物とアリールボロン酸の芳香環連結反応が、銅塩で進行することも見出すことにも成功した(Org. Lett. 2008)。さらに、ヘテロ芳香族化合物とハロゲン化アリールのビアリールカップリングを促進するNi触媒を開発した(Org. Lett. 2009)。例えば、Ni(OAc)_2/bipy触媒とLiOt-Buの存在下でベンゾチアゾールとヨードベンゼンを作用させ85℃で撹拌すると、2-フェニルベンゾチアゾールが高収率で得られる。この触媒は種々のヨウ化アリールや臭化アリールのカップリングに有効である。さらに、チアゾール、オキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイミダゾールなどのヘテロ芳香環のアリール化にも有効であることが明らかとなった。興味深いことに配位子をdppfにすると、塩化アリールやアリールトリフラートを用いたカップリングに有効な触媒となることも見出した。機能の宝庫であるヘテロビアリール骨格を極めて安価なNi(OAc)_2・4H_2O($126for 1kg : Strem Chemicals,Inc.)を触媒前駆体に用いて構築した意義は明白である。
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Research Products
(4 results)