2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19685012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊丹 健一郎 Nagoya University, 理学研究科, 教授 (80311728)
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Keywords | 分子触媒化学 / 炭素-水素結合 / 遷移金属錯体触媒 / 合成化学 |
Research Abstract |
本研究の自的は、炭素-水素結合などのユビキタスな結合を直接変換し有機骨格を構築する一般的手法の確立である。H20年度までに、芳香環やヘテロ芳香環の炭素-水素結合を直接化学変換する新しい触媒の開発に成功した。例えば、電子豊富なヘテロ芳香族化合物とヨウ化アリールのクロスカップリングを促進するユニークなイリジウム触媒を新たに開発した。トリシクロヘキシルホスフィンが特異的に優れた配位子であることが明らかとなり、等モル量のヘテロ芳香族化合物とヨウ化アリールでの効率的カップリングを実現できた。さらに、ユニークな位置選択性を発現するパラジウム触媒を開発することにも成功した。本触媒はチオフェン誘導体のβ位を選択的にアリール化する優れた触媒である。これまで、チオフェン誘導体の官能基化はα位で優先的に進行することが知られており、本発見はチオフェン類のβ位選択的官能基化の道を拓くポテンシャルをもつと考えられる。芳香族化合物とアリールボロン酸の芳香環連結反応が、銅塩で進行することも見出すことにも成功した。ピロールやインドールを基質として用いるとマルチプルアリール化が進行し、ヘテロ芳香環をコアにもつスターバースト型の拡張π電子系の迅速構築が可能である。さらに、ヘテロ芳香族化合物とハロゲン化アリールのビアリールカップリングを促進するニッケル触媒を開発した。本法を用いることで、40年ぶりの痛風新薬として脚光を浴びているフェブキソスタットの超短工程合成にも成功した。H21年度(4~5月)も引き続き、開発した新反応・新触媒の精度を高める検討を行ったが、若手研究(S)に採択されたため、本研究を終了した。
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