2008 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン基板一体型多孔質層の応用-細胞操作への展開-
Project/Area Number |
19686014
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
早瀬 仁則 Tokyo University of Science, 理工学部, 准教授 (70293058)
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Keywords | ナノバイオ / マイクロ・ナノデバイス / 多孔質シリコン / 微細加工 / 細胞固定 |
Research Abstract |
本年度は, 生細胞の吸引整列固定実証を主たる目的として研究を進めた. まず, 研究室内における, 細胞培養環境の構築を行った. これにより, Jurkat細胞(ヒト白血病由来の細胞)の培養を行えるようになり, 生細胞を用いた実験を容易に行える環境を整えた. 実際に, 細胞吸引固定を行うための準備として, 血清を含んだ細胞培養液の粘度等の測定を行い, 実験に支障がないことを確認した. しかしながら, 実際に生細胞の吸引固定を試みたところ, 培養液に含まれる細胞の生成物による多孔質吸引部の目詰まりにより, 細胞吸引はほとんど見られなかった. そこで, 新鮮な培養液に生細胞を分散させた. この結果, 吸引が観察されたが,細胞膜が破砕され多孔質部に細胞が吸引されて, デバイス表面から消失しまう現象が見られた. デバイス表面に金属薄膜を成膜することにより, 細胞破砕に関しては暫定的に対処できることを見出したが, 抜本的な改良を進める必要がある. 上記の検討により, 生細胞を実際に整列固定することに成功した. 細胞吸引整列後, 各種計測を検討している. このため, 短時間を想定しているが多孔質シリコン上において細胞培養を行う必要がある. 使用しているシリコンには, 濃度は低いながらヒ素やアンチモン等の毒性元素が含まれている. また, 表面形状等の培養への影響が懸念される. そこで, いくつか形状が異なる多孔質シリコン上での細胞培養を試みた. 現在までの結果から, 急性の毒性は見られないが, 多孔質上での細胞生存率の低下が観察された. 細胞がアポトーシスを起こしている可能性が高く, 要因の特定を進めている.
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Research Products
(2 results)