2007 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性酸化物半導体の光誘起による室温量子磁気伝導振動
Project/Area Number |
19686021
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福村 知昭 Tohoku University, 金属材料研究所, 講師 (90333880)
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Keywords | 電子・電気材料 / 光物性 / 磁性 / 半導体物性 / スピンエレクトロニクス |
Research Abstract |
CoドープTiO_2は室温を超えるキュリー温度を有する強磁性半導体である。ホスト半導体であるTiO_2がワイドギャップを持つため、ギャップ内に形成されたCoイオンに由来するエネルギー準位を介した光伝導の発現が推測される。そして、その強磁性が光伝導に及ぼす影響を調べることで、強磁性のメカニズムの解明や、さらには強磁性の制御を可能にすることが期待できる。ルチル型CoドープTiO_2の光伝導測定の結果、バンド間遷移に寄与する紫外光、バンド内遷移に寄与する可視光それぞれの照射によって、異常ホール効果の振る舞いが異なることがわかった。しかしながら、光伝導の振る舞いが光照射の些細な条件の変化により変化してしまうという問題が生じた。これは、ルチル型試料では暗状態においても10^<21>cm^<-3>台とキャリア濃度が高く、明状態ではキャリア濃度の相対的な変化が大きくないため、光照射の効果が小さく光伝導の影響を明瞭に観測できないからである。そこで、10^<20>cm^<-3>以下という低キャリア濃度で強磁性が発現するアナターゼ型薄膜の作製に取り組み、高品質な薄膜の作製に成功した。Co濃度と電子濃度をふった結果、常磁性-強磁性の境界のCo濃度と電子濃度を明らかにした。そして、高温における電気測定により、強磁性-常磁性の境界における異常ホール効果の振る舞いを調べた結果、キュリー温度直上の温度(約600K)では、ホール効果のヒステリシスが完全に消失することがわかった。これらの結果からわかった相境界領域の試料を光伝導に用いることで、大きな光照射効果が期待できる。また、詳細な試料パラメータ依存性を調べることができる。
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Research Products
(13 results)