2007 Fiscal Year Annual Research Report
ルーフポンドを用いた近赤外放射エネルギーの制御と有効利用
Project/Area Number |
19686035
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
吉永 美香 Meijo University, 理工学部, 助教 (70295624)
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Keywords | 太陽エネルギー / 分光放射 / ルーフポンド / 太陽熱利用 / クールルーフ |
Research Abstract |
研究の目的と平成19年度の実施計画 ルーフポンド表面では赤外線の吸収による顕熱除去効果のほか,蒸発潜熱による冷却効果や大気放射冷却効果もあるため,季節や時刻における最適制御のためには,熱収支のプロセスを正しく知ることが重要である。提案するルーフポンドでは,既往のクールルーフ技術と比較して以下の優位性が期待できる。 a.季節や気候による日射熱排除量の制御が容易にできる。 b.材料が水であるため可視光域を透過し,ガラス建築にも適する。 c.排除したい放射熱は水の顕熱に変換されるため,周囲建物が反射熱を受ける等の弊害がない d.ルーフポンドを構成する部材の環境負荷がほとんどない。 e.特殊な装置を必要とせず,パラペットを利用した既存建築物への普及が期待できる。 初年度にはこれらに関し,以下の点を明らかにすることに主眼を置いた。 ・ルーフポンドの近赤外放射除去効果と日射の分光分布が与える影響の予備検討 平成19年度研究実績の具体的内容 H19年度には,ルーフポンドの近赤外放射除去効果と日射の分光分布が与える影響を実測するための装置の開発及び予備実験を実施した。メーカーの製造不具合により主要測定機器である分光放射計の納期が大幅に遅れたが,2007年12月27日より5分毎の連続計測を開始する運びとなった(そのため論文発表が計画より遅延している)。また温湿度,風向風速などの気象要素の測定装置も追加設置し,連続測定を行っている。太陽放射300〜1700nmまでの広波長域に渡る連続スペクトル計測は,我が国でもほとんど例がなく,建築分野においては皆無といえる。本研究で得られる実測データは,我が国の都市気候分析やクールルーフ技術発展における重要なデータベースとなるものである。これら初年度の予備実験の成果は,2008年度日本建築学会学術研究発表会にて報告する予定である。
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