2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロクロマチン構造の確立と維持を制御する分子機構
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19687001
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中山 潤一 独立行政法人理化学研究所, クロマチン動態研究チーム, チームリーダー (60373338)
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Keywords | ヘテロクロマチン / 分裂酵母 / RNA干渉 |
Research Abstract |
真核生物の染色体に存在する高度に凝縮したヘテロクロマチンは、染色体の機能やエピジェネティックな遺伝子発現に重要な役割を果たしている。近年このヘテロクロマチンの形成に、同じ領域からのRNAの転写やRNAi機構の関与が示唆されているが、その分子機構の詳細には不明な点が数多く残されている。本研究では、優れたモデル生物である分裂酵母を用い、遺伝学的、生化学的手法を駆使してこのメカニズムの詳細を明らかにすることを目的とした。昨年度までの遺伝学的スクリーニングによって、複数のRNAi関連因子の単離に成功していた。本年度はこのうちの一つErs1に着目してその機能解析を進め、Ers1がRNAi機構の中心的な役割を果たすRNA依存RNAポリメラーゼ複合体(RDRC)をヘテロクロマチンにターゲットする役割を果たす、重要な因子である事を明らかにした。これまでRDRCのターゲッティング機構は明らかにされておらず、本研究はErs1との機能的関連を解明した画期的な成果と考えられる。さらに、細胞内局在からヘテロクロマチンとの関連が示唆されていた新規因子Grc3/Rmh1の機能解析を進め、この因子がヘテロクロマチン形成とリボソーム生合成の両方を制御する因子であることを明らかにした。また生化学的な解析から、このGrc3がIPI複合体、Las1と相互作用すること、これらの新規因子がGrc3と同様にヘテロクロマチン形成とリボソーム生合成の両方に関わることを明らかにした。以上の結果は、これまで機能的つながりが不明であったヘテロクロマチン形成とリボソーム生合成に、共通のRNA代謝機構が存在することを示す重要な成果と考えられる。
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Research Products
(12 results)