2007 Fiscal Year Annual Research Report
油糧微生物の分子育種と微生物の特異な脂質代謝機能を活用した有用物質生産
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19688006
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
櫻谷 英治 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (10362427)
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Keywords | アラキドン酸 / モルティエレラ / 分子育種 / アルカン / プロトテカ / 高度不飽和脂肪酸 / デスモステロール / ステロール |
Research Abstract |
1.アラキドン酸の工業生産株M. alpina 1S-4を用いて、相同組み換えを利用した遺伝子破壊系の構築を目指した。糸状菌において非相同組み換えに関わるタンパク質(Ku70あるいはKu80)遺伝子を破壊した株では相同組み換え頻度が上昇することが報告されている。そこでまず、M. alpina 1S-4からKu80遺伝子をクローニングした。本Ku80遺伝子は2,508bpから成り、836個のアミノ酸をコードしていた。アミノ酸配列を他生物由来のKu80と比較すると、25〜30%の相同性を示すことがわかった。2.M. alpina 1S-4から2つのステロールメチル基転移酵素(ERG6-1とERG6-2)遺伝子を単離した。本菌株内でのこれら遺伝子転写量を測定したところ、ERG6-1遺伝子の転写量は極めて低いことがわかった。さらに、RNAiによる機能解析を行ったところERG6-2遺伝子の転写量が低下することでステロール組成が変化することを見出した。以上より、ERG6-2は本菌のステロール生合成で重要な役割を担っていることを示すことができた。3.Mortierella属糸状菌は天然では珍しいデスモステロールをつくることができ、M. alpina FA113株はその生産性が最も高いことを見出している。そこで、分子育種によるデスモステロール生産を可能とするためM. alpina FA113の形質転換系を構築した。すなわち、デスモステロール生産能を維持したウラシル要求性株を取得し、選択マーカーを含むプラスミドをパーティクルガン法により導入することで形質転換を可能とした。4.酵母様微細藻プロトテカは直鎖状長鎖アルカンの5位の位置を酸化し、アルコール体、さらにケトン体へと変換するサブターミナル酸化経路を持つことを見出した。他の未知物質を同定したところ、ケトン体はバイヤビリガー反応により酸化され、1級アルコールと脂肪酸になることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)