2010 Fiscal Year Annual Research Report
ポリフェノール類の機能性と安全性評価のための標的分子の解析
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19688007
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河合 慶親 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (50380027)
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Keywords | ポリフェノール / 酸化ストレス / マクロファージ / 動脈硬化症 / 炎症 / 標的分子 / オートファジー / β-グルクロニダーゼ |
Research Abstract |
本研究課題最終年度である22年度においては、ポリフェノールの生体内代謝物の活性化に関わるマクロファージの炎症機構の検討を進めた。前年度までの検討から、ポリフェノールの一種であるケルセチンのグルクロン酸抱合体はマクロファージに蓄積するとともに脱抱合化反応を受け、活性の高いアグリコンとなり作用する可能性が示唆された。そこで、マクロファージ細胞RAW264を用いて脱抱合酵素を探索したところ、βグルクロニダーゼが分泌'されていることが同定された。βグルクロニダーゼ発現量についてマウス各組織間で比較したところ、本酵素はマクロファージにおいて最も顕著に発現していることが示された。さらに、その分泌量はマクロファージの炎症状態と密接に関与しており、各種阻害剤を用いた検討から、カルシウムイオンやMAPキナーゼ経路が重要な役割を担っていることが示唆された。一方、マクロファージの活性化・炎症反応にオートファジーが関与することが最近報告されたことから、ポリフェノールによるオートファジーへの影響を検討したところ、ケルセチンをはじめとするフラボノイド類に顕著なオートファジー活性化作用が認められた。さらに、ケルセチンはRAW264からのβグルクロニダーゼの分泌を顕著に抑制した。よって、ケルセチン代謝物は活性化マクロファージによって脱抱合され、オートファジー誘導を介した抗炎症作用を示し、炎症を鎮静化させうることが示唆された。以上の結果より、ケルセチンをはじめとするポリフェノールは代謝物として安全に生体内を循環し排出される一方、炎症部位においてはマクロファージによって選択的に活性化され、抗炎症作用を介して抗動脈硬化作用を発揮することが示された。
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