Research Abstract |
昨今,マルチコア技術の発展に伴い,様々なタイプのアーキテクチャをもつプロセッサが開発されてきている.そのような背景の中,ネットワークに関する処理をより高速に行うため,IPパケットの処理を専ら行うモジュールを持つNetwork Processor(以降,NPと呼ぶ)が登場した.さらに,ネットワーク機器や組み込み機器などにおいて,暗号処理を行うことも増えたため,IXP4xxシリーズ(インテル社製)やMPC82xxシリーズ(モトローラ社製)のようにコア内に暗号処理を専ら行うモジュール(以降,暗号モジュールと呼ぶ)を持つNPも開発され普及してきた.この種のプロセッサでは,暗号処理以外の処理は汎用モジュールで行い,IPSec, SSI、(Secure Socket Layer)やTLS(Transport Layer Security)などに伴う高度な暗号処理は,暗号モジュールで行うことにより,プロセッサ全体で処理速度の向上を狙っている.しかしながら,,オペレーティングシステムを含む既存のソフトウエアの多くは,この種のプロセッサ向けに設計されておらず,一般的に,暗号モジュールを活用するためにはソフトウエアを改修するなどの処置が必要となる.当該研究では,研究計画に基づき,暗号モジュールをもつネットワークプロセッサ(以降,CNP呼ぶ)としてIXP425を搭載した実験用ボードをターゲットとし,その上で暗号ミドルウエアの開発を行った.特に,一般的に広く利用されている暗号ライブラリであるOpenSSLの処理の一部をIXP425の暗号モジュールにオフロードすることを実現した.また,研究計画に基づき,当該研究では,効率的なスケジューリング方式を実装し,既存方式より高速に動くことを実験により確かめることができたよって,今年度における一定の成果を上げることできた.
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