2008 Fiscal Year Annual Research Report
エージェントを用いた社会シミュレーションにおける交渉と人材育成への展開
Project/Area Number |
19700133
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
高玉 圭樹 The University of Electro-Communications, 電気通信学部, 准教授 (20345367)
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Keywords | エージェント / 社会シミュレーション / モデル化 / 交渉 / 人材育成 |
Research Abstract |
本研究では, エージェントとの交渉による被験者実験を通した人材育成の効果を検証した.具体的には, 次の2つの項目を実施し, 被験者が獲得した交渉戦略を分析するとともに, 人材育成としての効果を明らかにした. ・項目1 : エージェントとの交渉による被験者実験 前年度に構築した複数エージェントと被験者による交渉実験を行い, 被験者が何を学んだかを分析した.具体的には, 全被験者をまず複数のグループに分け, グループ毎に異なる種類のエージェントと交渉させた.次に, 異なるエージェントと交渉した被験者同士を交渉させ, 獲得した交渉戦略の違いを調査するとともに, アンケートから実際に学んだ交渉戦略を明確化した.このとき, 被験者に交渉相手がエージェントであることを悟られないために, 各被験者をそれぞれ異なる部屋に入れてネットワーク越しに交渉ができる工夫を行った. ・項目2 : 人材育成効果の分析と交渉回数/順番による影響 項目1の実験から, ある種類のエージェントと交渉した被験者は「相手に勝つ(相手より多くの利得を得る)ための交渉戦略」を獲得し, 別の種類のエージェントと交渉した被験者は「総利得を向上させるための交渉戦略」を獲得した.これはエージェントとの交渉回数/順番に依存せずに普遍的な結果であり, かつ, 項目1の被験者とは別の被験者でも同じ結果を得た.更に, 交渉に勝つ戦略と総利得を向上させる戦略は同時に獲得されず, 別々に獲得されることも明らかになった.
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