2009 Fiscal Year Annual Research Report
適応的分位点回帰分析によるネットワークトラフィックの確率的予測に関する研究
Project/Area Number |
19700261
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
竹内 一郎 Nagoya Institute of Technology, 工学研究科, 准教授 (40335146)
|
Keywords | 分位点回帰分析 / 統計的機械学習 / パラメトリック計画法 / 凸最適化 |
Research Abstract |
コンピュータネットワークの異常検知システムを実現するには,現在のトラフィックが異常か正常かをデータに基づいて自動判定するアルゴリズム開発が必要である.本研究では統計的機械学習の要素技術である分位点回帰分析を用いて本課題の解決を目指したものである.異常検出問題の困難な点は異常な状態を事前に観測することが難しいことである.このため,異常な状態自体を定義するのではなく,正常な状態を確率的に定義して,その確率が低い状態であるときに異常であると判定するアプローチが有効である.また,コンピュータネットワークのトラフィックは使用形態や時間などの様々な要素の影響を受け,その性質が常に一定というわけではない.このため,ネットワークトラフィックの時系列モデルを適応的に推定しながら,極端な異常を正確に捉えることが重要となる. 上述のようなアプローチでは,平均的な事象を予測する時系列モデルでなく,確率的に起こりにくい事象に関する時系列モデルが必要である.また,どの程度の確率で起こる事象であるかを定量的に把握できるものであることが望ましい.分位点回帰分析とよばれる解析方法を用いると,入力xのもとでの出力yの条件付分布P(y|x)の任意の分位点を推定することができる.直近に観測されたトラフィック量を入力とした分位点回帰モデルを用いることにより,現在の出力がどの程度の確率で発生するかを定量的に把握できることである.本研究では時系列モデルとしての分位点回帰モデルを適応的に更新するためのアルゴリズム開発を行った.具体的には,古いデータをモデルから除去し,新しいデータをモデルに取り入れるための高速アルゴリズムの開発を行った.このアルゴリズムでは凸最適化分野の方法論であるパラメトリック計画法と呼ばれるものを利用した.パラメトリック計画法とは問題パラメータが変化したときに凸計画問題の最適解がどのように変化するかを解析的に追跡するものである.分位点回帰分析のモデル推定は凸計画問題として定式化されるため,パラメトリック計画法の適用が可能であった.従来のアプローチと計算速度を比較したところ,10倍程度の高速化が実現できた.
|
Research Products
(8 results)