2007 Fiscal Year Annual Research Report
スパインにおけるIP3受容体の密度変化と長期抑圧制御機構の解明
Project/Area Number |
19700299
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
深津 和美 The Institute of Physical and Chemical Research, 発生神経生物研究チーム, 基礎科学特別研究員 (60435675)
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Keywords | カルシウムチャネル / プルキンエ細胞 / スパイン / IP3受容体 / 拡散 |
Research Abstract |
神経細胞では、小胞体膜上のカルシウム放出チャネルであるIP_3受容体タイプ1(IP_3受容体1)からのカルシウム放出が様々な神経活動に重要な役割を持っている。IP_3受容体1が多く発現している小脳プルキンエ細胞では、スパイン(棘突起)内で局所的に起こるIP_3受容体1からのカルシウム放出が、長期抑圧の誘導に関与していることが知られている。しかし、小胞体は樹状突起全体に一様に張り巡らされており、どのように局所的なカルシウム放出が制御されているかは明らかになっていない。そこで、私は小胞体膜上でIP_3受容体1の密度が神経活動依存的にダイナミックに変化し、それが局所的なカルシウム放出に関わっているのではないかと予想し、その解明を試みた。 まずIP_3受容体1がスパインにおいてどのような動態を示すのか明らかにするために、小脳スライスに遺伝子銃を用いてGFPを融合したIP_3受容体1(GFP-IP_3受容体1)を発現させ、蛍光退色回復法により、動態を観察した。スパインは形が短時間に大きく変化することから、私は異なる蛍光タンパク質を融合した二種類のタンパク質を発現させ、これらのタンパク質の拡散の比を求めることにより、スパインの形状の変化をキャンセルすることにした。赤系蛍光タンパク質であるtdtomatoを小胞体膜上のカルシウムポンプであるSERCAに融合したtdtomato-SERCAと、GFP-IP_3受容体1を同時に発現させ、拡散の比を求めた。また、融合する蛍光タンパク質を逆にして、拡散の比を求める実験も行った。現在、IP_3受容体1の動態が神経活動依存的に変化するかどうか明らかにするために、様々な薬剤で刺激した際のGFP-IP_3受容体1の動態を観察している。今後は得られたデータから、定常状態のIP_3受容体1の動態と、薬剤刺激時の動態の変化を、定量的かつ定性的に解析していく予定である。
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Research Products
(1 results)