2007 Fiscal Year Annual Research Report
損傷した中枢神経軸索再生のための基礎研究-プロテオグリカンの作用機序の解明
Project/Area Number |
19700301
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
久保山 友晴 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経成長機構研究チーム, 研究員 (10415151)
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Keywords | コンドロイチン硫酸プロテオグリカン / dystrophic endball / プロテインキナーゼA / 軸索再生 |
Research Abstract |
脊髄損傷部位周辺ではコンドロイチン硫酸プロテオグリカン(CSPG)の濃度勾配が形成され、そこへ再伸長した軸索の先端部は膨瘤した球状体(dystrophic endball)を形成し、軸索の伸長が停止する。本研究は、dystrophic endballが前方への移動を停止する分子的原因を探ることを目的とした。まず、CSPGの一種であるaggrecanの濃度勾配を形成させた培養皿上で成体ラットより単離した脊髄後根神経節神経細胞を培養ずることにより、再伸長した神経軸索の終末が膨瘤して伸長を停止し、dystrophic endballを形成することが再現できた。本培養系を用いて免疫細胞染色を行い解析した結果、dystrophic endballでは、静的な微小管のマーカーである脱チロシン化チュブリン及びアセチル化チュブリンの発現が増加し、細胞-基質間接着(focal complex)マーカーのリン酸化チロシン陽性斑点が周辺部におけて減少していた。これによりdystrophic endballでは微小管タンパクのダイナミクス、fbcalcomplexの形成に異常が生じていることが示唆された。さらに、プロテインキナーゼA(PKA)阻害剤を処置することにより、dystrophic endballが前方への移動を開始することを明らかにし、微小管タンパクのダイナミクスやfocalcomplexの形成不全が正常化することを示唆した。以上、dystrophic endballが前方へ移動できない分子的要因の一端を明らかにした。次年度は、PKAによって制御されるdystrophic endballの前方移動不全の原因となる分子を同定し、その分子を活性化あるいは不活性化することにより培養系において軸索再生を誘発させる予定である。
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