2008 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠-覚醒を制御する皮質下神経核が大脳皮質微小回路へ及ぼす作用の解明
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19700306
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
高田 則雄 The Institute of Physical and Chemical Research, 平瀬研究ユニット, 研究員 (50415212)
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Keywords | in vivo / イメージング / 大脳皮質 / アセチルコリン / カルシウム / 光子顕微鏡 / マイネルト基底核 / 覚醒 |
Research Abstract |
「大脳皮質と皮質下神経核との相互作用の解明」を通して、脳をシステムとして理解することを目指し、本研究課題では、睡眠-覚醒サイクルを制御するコリン作動性神経核の活性化が、大脳皮質微小回路の活動をどのように修飾するか研究した。具体的には、前脳基底部コリン作動性神経核(NBM)を刺激電極で活性化させた時に、麻酔下動物の大脳脳波変化(徐波から速波)が大脳皮質のどの場所で生じるのか、微小ガラス記録電極を用いて計測した。また、NBMを活性化させることで、大脳皮質の細胞内Ca2+がどのように応答するか、2光子顕微鏡で観察した。以上の計測の結果、NBM刺激による皮質脳波の徐波から速波への変化は、大脳皮質全域で生じることを見つけた。さらに、NBM刺激によって大脳皮質細胞の細胞内Ca2+が上昇することを初めて発見した。Ca2+上昇は神経細胞だけでなく、グリア細胞でも生じた。興味深いことに、NBM活性化による大脳皮質脳波変化は皮質全域で生じたのに対して、大脳皮質細胞のCa2+上昇はNBM活性化部位に応じて皮質の一部分に限局されていた。これまでに知られているNBMの脳作用は、(1)睡眠-覚醒制御および(2)皮質可塑性の亢進である。睡眠-覚醒制御においては、大脳皮質全域の制御を行う必要があり、皮質可塑性においては大脳皮質の限局された部分だけに作用を及ぼす必要があると思われる。本研究結果から、NBMの作用の内、脳波変化は睡眠-覚醒制御に関連し、大脳皮質細胞のCa2+上昇は皮質可塑性に関与している可能性が考えられる。
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Research Products
(3 results)