2007 Fiscal Year Annual Research Report
脳内コレステロール代謝変動に起因する神経変性の分子機構の解明
Project/Area Number |
19700329
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
于 文新 Tokyo Medical University, 医学部, 特別研究員 (10393159)
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Keywords | コレステロール / 神経変性 / ミトコンドリア / ニーマン ピック病 / 亜鉛 / tau 蛋白 / プロテーオム / 酸化ストレス |
Research Abstract |
本研究の目的は、ニーマンピック病C型(NPC)モデルマウスを用いて、コレステロール代謝障害が神経細胞変性を誘導する分子機構を解明する。19年度は神経培養細胞系を用いて、細胞内コレステロール代謝障害のモデルを樹立した。さらに、このモデルを利用し、ミトコンドリア機能障害や亜鉛代謝変動との関連を調べて、神経細胞変性につながるメカニズムの検討を行った。 その結果:細胞内コレステロール代謝変動により、(1)ERK1/2の活性化を引き起こし、tau蛋白のリン酸化が促進されることを確認した。(2)ミトコンドリア機能障害を引き起こし、コレステロール蓄積の神経細胞は正常神経細胞に比べ、ATPレベルが低値を示した。また、細胞障害の誘引物質(過酸化水素5μM)処理4時間後、生存率が有意に低下し、過酸化水素に対する脆弱性が認められた。 神経系における亜鉛代謝変動と神経変性について検討した結果、高濃度亜鉛で処理した細胞は正常細胞に比べ、細胞内コレステロール蓄積やtau蛋白の過剰リン酸化が認められたが、ATPレベルやミトコンドリア膜電位の変化は認められなかった。神経系における亜鉛蓄積は、神経変性の原因の一つであり、亜鉛蓄積の改善は、神経変性疾患の治療に繋がる可能性が示唆される。また、亜鉛蓄積による神経変性カスケードにおいては、tau蛋白過剰リン酸化がミトコンドリア機能障害の上流にあると考えられる。 ニーマンピック病C型モデルマウス神経細胞のプロテーオム解析は現在進行中で、神経変性に繋がる蛋白の同定が期待される。
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Research Products
(1 results)