2008 Fiscal Year Annual Research Report
痙攣性疾患治療薬としてのカルシウム活性化カリウムチャネル開口薬の探索
Project/Area Number |
19700345
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
山村 寿男 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 助教 (80398362)
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Keywords | イオンチャネル / カルシウム活性化カリウムチャネル / カリウムチャネル開口薬 / 神経細胞 / 血管平滑筋細胞 / 全反射蛍光顕微鏡 / パッチクランプ / 創薬 |
Research Abstract |
大コンダクタンスCa^<2+>活性化K^+(BK)チャネルは、平滑筋や骨格筋、腺細胞及び神経等の興奮性細胞に特に多く分布しており、これらの組織の興奮時における脱分極と電位依存性Ca^<2+>チャネル開口を介した細胞内Ca^<2+>濃度上昇を引き金として活性化する。BKチャネル開口に伴って生じる過分極により、細胞膜興奮と細胞内Ca^<2+>濃度上昇を制限するので、BKチャネルは細胞膜興奮に対する負帰還機構を担うと考えられている。そのため、BKチャネル開口薬の開発は臨床的にも注目され、高血圧をはじめ、気管支喘息や緊張性膀胱等の平滑筋緊張が増加したような疾患や脳血管循環の改善にも有効であると考えられ、平滑筋を標的としたBKチャネル制御薬の開発は精力的に行われている。一方、中枢神経系にも豊富に発現するBKチャネルは、その生理的意義に未解明な部分を多く含んでいるため、創薬の標的としては発展途上である。本研究では、全反射蛍光(TIRF)顕微鏡を利用して、生細胞膜表面に発現するBKチャネルの3次元動態をリアルタイムでナノ分子画像解析し、その情報をイオンチャネル創薬に応用する手法を確立することを目指した。TIRF顕微鏡を用いた生細胞膜表面の観察によって、血管平滑筋細胞やHEK細胞に再構築したBKチャネルー分子もしくはその集合体の分子挙動を可視化することができた。活性本体であるBKαチャネルの分子動態は、修飾サブユニットであるβサブユニットとの複合体形成やアクチン等の細胞骨格との分子間相互作用によって制限されることが示唆された。また、血管平滑筋細胞においては、ラフト構造の一種であるカベオラにBKαチャネルが集積している可能性も示された。本研究によるBKチャネルー分子の可視化解析は、BKチャネルの生理機能の発揮や薬理学的な検討を行う上で、非常に有益な情報を提供し得ると考えられる。
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