2009 Fiscal Year Annual Research Report
オリゴデンドロサイトによる活動電位の軸索伝導の修飾
Project/Area Number |
19700356
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山崎 良彦 Yamagata University, 医学部, 准教授 (10361247)
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Keywords | 海馬 / 白板 / オリゴデンドロサイト / 活動電位 / グルタミン酸受容体 / 伝導速度 / 髄鞘 / ラット |
Research Abstract |
前年度までの研究で、オリゴデンドロサイトの脱分極により、活動電位の伝導速度が速くなることが示された。本年度では、このオリゴデンドロサイトによる修飾効果の作用機序について検討を始めた。髄鞘を形成する突起のダイナミックな形態的変化が含まれる可能性が考えられたため、電極内溶液の浸透圧を増加させ、オリゴデンドロサイトがどのように形態変化するか観察した。その結果、細胞体と近傍の突起における体積変化を観察することができた。髄鞘形成突起における変化については、共焦点顕微鏡下でのリアルタイム観察が必要であると考えられた。オリゴデンドロサイトの形態変化は、ランビエの絞輪傍部や絞輪間部における細胞外抵抗を大きくさせると考えられ、これによりリーク電流が少なくなり、活動電位の軸索伝導が促進すると考えられた。以上のことから、神経活動の増加-オリゴデンドロサイトの脱分極・形態変化-活動電位伝導速度の増加といった"オリゴデンドロサイトを介する活動依存的な情報処理速度の変化"という概念を提唱することができた。 また、液性因子による伝導速度の修飾の有無について検討した。神経修飾物質として知られているアデノシンを灌流投与したところ、海馬CA1領域の錐体細胞における伝導速度が遅くなることがわかった。このような効果は、活動電位伝播の同調性に影響を与えると示唆された。このアデノシンの作用にオリゴデンドロサイトが関与しているかどうか、今後の重要な研究課題になると考えられた。
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Research Products
(7 results)