2007 Fiscal Year Annual Research Report
遊離海馬標本における苔状線維または苔状細胞を介した海馬長軸方向への伝達経路の解析
Project/Area Number |
19700359
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮崎 憲一 Tohoku University, 大学院・生命科学研究科, COEフェロー (40433502)
|
Keywords | 海馬 / 二光子レーザー顕微鏡 / 記憶学習 |
Research Abstract |
本研究の目的は、顆粒細胞から長軸方向CA3a錐体細胞への伝達経路と、苔状細胞そして側頭側の顆粒細胞を介した、CA3a錐体細胞への伝達経路の相互作用を調べることであるが、それぞれの経路を金属電極により電気刺激すると、顆粒細胞または苔状細胞以外の細胞や線維を刺激してしまい、それぞれの経路を特異的に刺激することが困難であることが判明した。そこで、光感受性カチオンチャネルであるchannel rhodopsin-2(ChR2)をそれぞれの経路の細胞に発現させ、光刺激によって特異的に刺激する方法を現在開発中である。ChR2-venus sindbis virusをin vivoで投与し、十分に発現した後、急性海馬横断面スライスを作成し、落射蛍光装置による光刺激をした。この刺激により顆粒細胞に活動電位を発生させることができることを、苔状線維-CA3垂体細胞シナプスでの細胞外電位記録をとることで確認した。今後、この応答が苔状線維特異的な応答であることをホールセル記録法などを用いて検討する必要がある。この方法が確立すれば、金属電極を使った実験よりも顆粒細胞を特異的に刺激できるようになることから、海馬長軸の実験だけでなく、海馬横断面スライスを使用した多くの実験にも使用することができ、より詳細な解析ができるようになると考えられる。 一方、海馬長軸の回路を解明するために遊離海馬標本を使用する予定であったが、ChR2が十分に発現するまでに数日を必要とするため、遊離海馬標本の作れる13日齢以内での実験が困難になった。そこで、13日齢以降でも実験のできるCA1を切除した遊離海馬標本を作る方法を開発中である。
|