2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700367
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮部 貴子 Kyoto University, 霊長類研究所, 助教 (10437288)
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Keywords | 麻酔 / サル / プロポフォール / 動物福祉 / 薬物動態 / 霊長類 |
Research Abstract |
サル類を用いた研究において麻酔の重要性は高く、質の高い麻酔をおこなうことは、動物福祉的配慮であるとともに、実験データの質を向上させ、研究の精度を上げることとなる。プロポフォールは作用時間が短く、導入・覚醒が迅速であるため、持続投与により麻酔維持が可能で、麻酔深度および時間の調節がしやすい。ヒトでは主流の麻酔薬であり、サル類においても侵襲の高い開頭術などを行う脳神経科学研究などに適した麻酔であると考えられる。しかし、サル類を対象としたプロポフォールの投与に関する研究の報告はほとんどなかった。本研究の目的は、サル類におけるプロポフォールの基礎的な薬物動態学的、薬力学的研究を行い、プロポフォールを用いた全静脈麻酔法の有用性と実用化の可能性を検討することであった。 本研究では、健康なニホンザル4頭を用い、プロポフォールの静脈内単回投与時の鎮静効果と、呼吸数・心拍数に対する影響を検討した。さらに、プロポフォール投与後に経時的に採血し、それぞれの時間におけるプロポフォールの血中濃度を、高速液体クロマトグラフィー/蛍光法で測定した。得られた血中濃度から、薬物動態パラメータを算出した。 本研究の結果、ニホンザルにおいて、プロポフォール8mg/kg静脈内投与で十分な鎮静効果が得られた。鎮静効果は刺激の有無により、投与後、約8-14分持続し、約25分で完全に回復した。ニホンザルにおけるプロポフォールの薬物動態は、3-コンパートメントモデルで表すことが適切であった。算出したパラメータと薬物動態シミュレーションソフトウェアを使用し、予測血中濃度を計算することにより、適切なプロポフォール濃度を維持する投与方法を検討することが可能となった。
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