2007 Fiscal Year Annual Research Report
外部刺激に応答した表面上における生体分子の構造制御
Project/Area Number |
19700403
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
熊代 善一 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 助教 (10401572)
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Keywords | タンパク質吸着 / フェリチン / 刺激応答 / 二次元結晶化 / 水晶振動子測定 |
Research Abstract |
量子ドットを内包可能な籠型タンパクであるフェリチンの固体表面上での自己組織化による結晶化は、量子ドットを用いたデバイス作製の為のコストの低さ、作製設備の簡便さという観点から多くの関心を集めている。本研究では、外部刺激によってフェリチン吸着をON-OFF制御することを試みた。具体的には、温度応答型高分子であるポリN-イソプロピルアクリルアミド[poly(IPAAm)]をフェリチンの外殻に化学修飾し、それらの温度変化に伴う表面上への吸着挙動をSEMやQCMにより観察し、グラフト鎖の影響について考察した。 片末端にカルボキシル基を有するIPAAm重合体を、われわれが確立した方法により合成した。この時、分子量が1,500〜10,000程度の重合体を種々調製した。さらにpoly(IPAAm)をN-ヒドロキシスクシンイミドを用いてカルボキシル末端を活性化し、フェリチンの外殻とカップリング反応させ、poly(IPAAm)修飾フェリチンを調製した。合成の確認はGPC,ζ-電位測定、DLSを用いて行った。それらの結果、poly(IPAAm)鎖はフェリチンの外殻に20〜30本導入されていることを確認した。調製したpoly(IPAAm)修飾フェリチンをタンパク濃度0.1mg/mlで0.05M Bis-Tris buffer[(pH:5.8),0.05wt%TWEEN20含有]中に調整し、種々の温度での疎水基板上への吸着挙動をQCMによって観察した。それらの結果、poly(IPAAm)のLCST以下の条件では、poly(PAAm)修飾フェリチンは基板上には全く吸着しなかったのに対し、LCST以上の条件では、基板上に吸着した。このことは、LCST以上においてpoly(IPAAm)修飾フェリチンの疎水性度が上昇したことで、疎水基板との疎水性相互作用が上昇したことによる吸着を示唆している。以上から、温度応答型高分子グラフト鎖がフェリチン吸着を制御する要素であることを見いだした。
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