2008 Fiscal Year Annual Research Report
サルコペニア対策としての熱刺激の有用性に関する実験的アプローチ
Project/Area Number |
19700437
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中野 治郎 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20380834)
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Keywords | リハビリテーション / 廃用性筋萎縮 / 熱刺激 / 熱ショックタンパク質 / 酸化ストレス / 骨格筋 |
Research Abstract |
1. 目的 : 本研究では、運動負荷による筋力トレーニングが適応できない高齢者に対する廃用性筋萎縮とサルコペニアの予防方法として、熱刺激を利用した筋萎縮の進行抑制方法の開発を目的としている。今年度は昨年度に得られた成果を踏まえて、老齢ラットの廃用性筋萎縮の進行と酸化ストレスに対する熱刺激の効果を検討した。 2. 対象と方法 : 60週齢Wistar系雄ラットを対照群と実験群に振り分け、実験群は足関節を14日間ギプス固定した。実験群はさらに固定のみの群(固定群)とギプス固定の過程で温水浴(42℃)による熱刺激を毎日1時間負荷する群(固定+熱刺激群)に振り分けた。実験終了後、両側の腓腹筋・ヒラメ筋を採取し、各タイプの筋線維直径、HSP70含有量、酸化ストレスマーカーSODを測定した。 3. 結果 : (1) 腓腹筋の各タイプの平均筋線維直径はすべて固定群に比べ固定+熱刺激群が有意に高値を示した。しかし、ヒラメ筋の平均筋線維直径は固定群と固定+熱刺激群に差はなかった。(2) 固定+熱刺激群のHSP70含有量は、腓腹筋。ヒラメ筋とも固定群より増加していた。(3) CuZnSOD・MnSODは固定群、対照群、固定+熱刺激群の順に高値を示したが、有意差は認められなかった。 4. 考察 : 加齢ラットの腓腹筋においては、若年ラットと同様に、熱刺激による廃用性筋萎縮の進行抑制効果が認められた。しかしながら、ヒラメ筋では熱刺激によるHSP72発現は増加したものの、廃用性筋萎縮の進行抑制効果は認められなかった。つまり、廃用性筋萎縮とサルコペニアに対する熱刺激の効果は骨格筋により異なってくることが示唆された。その原因としては、今回の結果から酸化ストレスの影響は否定され、今後は筋特性や炎症性サイトカインの影響について検討を加えていく。
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Research Products
(11 results)