2007 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の健やかな生活を支えるモノとの浸透関係に関する研究
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19700561
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 光太郎 Nagoya University, エコトピア科学研究所, 特任講師 (60420361)
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Keywords | 高齢者 / モノ / 浸透関係 / 工学 / 生活 |
Research Abstract |
当年度(平成19年度)に行なった研究の内容として、(1)高齢者が普段の生活のなかでモノをどのように使用しているのか観察を行なったこと、(2)モノの使用場面に関する記述から浸透関係(Trans-action)について検討を行なったこと、そして(3)モノと浸透関係を築いているがゆえに、新奇なモノ(例えばロボット)が導入される際高齢者に与える影響について、それからモノを喪失してしまう際高齢者に与える影響について検討を行なった。 これらの研究の意義は、(1)対人関係だけでなくモノとの、特にシンボルとの浸透関係について明らかにすること、(2)その際1者(人)と1者(モノ)の分離を前提に相互作用(Inter-action)について議論を始めるのではなく、むしろ切り離せないなかで距離化してくるあり様を提示すること、そして(3)高齢者の健やかな生活を支える上で、どのようなモノ関係が望ましいのか構想すること、以上の3点が挙げられる。 最後に、これらの研究の重要性であるが、(1)高齢者の生活において、例えば介護場面において技術や思いやりなど人に過剰な期待を担わせてしまっている現実のなかで、モノ環境が高齢者の生活を支える可能性について精査することはこれまでほとんどやられてこなかった、(2)一方で工学研究では、モノを作り高齢者に提供し、その選択については高齢者に担わせてしまっている現状があり、高齢者にモノをやみくもに提供することにより生じる高齢者の健やかな生活への不利益について(指摘することはあっても)精査することはこれまでほとんどやられてはこなかった、(3)そうしたなか、モノと高齢者の関係の良し悪しを精緻に検討する数少ない試みである点が重要性として挙げられる。
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Research Products
(3 results)